昨夜はバルセロナが世界に誇るリセウオペラ劇場へ、フラメンコギターの巨匠、パコ デ ルシアのコンサートに行って来た。 パリのオペラ座、ミラノのスカラ座同様、19世紀中頃に造られたネオクラッシック様式で、大理石と白と金の豪華な装飾できらびやかに造られてある。ここは、世界的ソプラノ歌手モンセラット カバリェのホームシアターとしても有名である。しかし、オリンピック終了後の93年1月に火事で焼け落ちてしまった。火災直後訪れた時, 舞台のレンガ積みの壁の一部だけが残り、馬蹄形の観客席の部分がポッカリと空まで抜け、灰塵と化した劇場の姿が今でも目に焼きついている。 その後、今は亡きバルセロナを代表する建築家イグナシ ソラモラーレス氏によって、焼け残ったファサードと白大理石の玄関階段ホールは修復し、焼け落ちた舞台と観客席は前と同じように豪華なイメージで復元され、近代的な機能を併せ持ったモダンな建築に見事に再生された。昨夜はこの空間に鳴り響いたパコの力強くて官能的なギターの響きと音色に老若男女のバルセロナッ子たちは酔いしれ、一体となった。(私も含め。) 「文化としての建築」は市民に愛され、人生を共に過す。たとえ、焼け落ちても、市民の思いでまたそれまで以上のものを作り上げることが出来るのだということを、私はバルセロナで学んだ。この9月でバルセロナに住んで20年の節目を迎えるが、この市民の文化力こそがこの街をますます魅力的にしているように思う。
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Date: 2006/07/24(月)
No.31
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